コロナ禍の今だからこそ見直そう!環境の変化に適応できる強い組織づくり

コロナ禍の今だからこそ見直そう!

環境の変化に適応できる強い組織づくり

 

(第40話)

このたびのコロナ禍により、ほんの数か月の間に経営環境は劇的な変容を遂げました。
「これからは今までと同じ経営では立ち行かない」という危機感は持っていても、具体的に何をどう変えていけばよいのかを見出せない、という経営者の悩みをよく耳にします。
本コラムでは、コロナ禍こそ、今までの会社の在り方を見直す機会と捉え、ウィズ/アフターコロナに向けた“強い組織づくり”の進め方についてお話しいたします。

 

《経営ビジョン・経営目標実現に向けた組織の役割・機能の定義と責任の明確化

 

前回は、経営環境分析を行い、経営ビジョンや経営目標を見つめ直す必要性についてご紹介しました。今回は、会社として新しい経営ビジョン・経営目標が決まり、その実現に向けて活動していくために必要な組織づくりについてお話します。

 

1.組織の役割・機能の再定義

(1)組織は戦略に従う

経営ビジョン・経営目標が新たなものになると、当然それを達成するための戦略も見直し再定義します。組織は戦略に従う(チャンドラーの定義)と言われるように、再定義した戦略を実現するためには、既存の戦略の実現のために設計されていた組織や機能も、新たな戦略に合わせて変革する必要があります。

極端な例ですが、老舗の商社甲社は、地域別に編成された組織体制をとっています。関東事業部が商品AからZまでを販売し、関西事業部も商品AからZを販売しており、いわゆる御用聞き販売が強みでした。得意先ごとに専任の営業担当者がつき、すべての商品の提案をしていました。しかし、売上至上主義から利益重視の経営に舵を切り、商品別の利益率を見直し、重点的に販売する商品を、商品PQRに絞ることとしました。商品PQRの販売には専門知識が必要で、今後は得意先と共に商品開発を行うことも出てきます。この場合、商品ごとに専門知識と経験をもった営業部員が必要となり、商品特性に見合った営業戦略も立てなければなりません。そのためには、商品P事業部、商品Q事業部、商品R事業部に組織再編したほうが、機動力のある営業活動ができるでしょう。

 

(2)組織・機能を再設計し新組織体制を構築

新組織体制を構築するための手順をお話しましょう。

手順は、①自社の現在の組織・機能を整理・分析し、②新戦略に求められる要件や課題を設定し、③競争力を高めるための最適な組織・機能を再設計し、④新しい組織構造による体制を作ります。

その際に、権限・責任配置も見直します。

 

<戦略の分析と評価>

新しい戦略の特徴や競争上の強み・弱みを分析・評価します。

甲社の場合ですと、商品PQRに絞るという新しい戦略を遂行する上で、現状の組織上の課題や活かせる強みを分析し、あるべき姿とのギャップを見極めます。 

<組織・機能の設計>

新しい戦略を遂行するために必要な機能を定義し、あるべき姿とのギャップを埋めるために追加するべき機能や強化すべき機能を決定します。その上で、機能間の連携のあり方などを検討し、新戦略を実施するために最適な組織構造を決めていきます。人的資源が不足する場合は採用や配置転換も必要となるでしょう。

 

2.さまざまな組織構造

ここで、典型的な組織構造をご紹介しておきましょう。組織構造は仕事を分業する際の形態と考えると解りやすいです。

 

■機能別組織

機能ごとに編成された組織のことです。機能とは、たとえば「営業」「製造」「総務」「財務」などです。急激な外部環境変化が少なく、組織の効率性・専門性を高めることが成功要因になり、かつ事業形態が単純な事業に適した組織です。

メリットは、専門家により知識や経験の蓄積が容易であり、設備資源や人的資源の集中利用により規模の経済を得やすいことです。一方、デメリットは、組織が拡大すると部門間調整が煩雑になり迅速な意思決定ができくなることです。

 

 

■事業部制組織

 事業単位(取扱製品別、担当地域別など)で編成された組織のことです。複数の事業を営む企業がとる組織形態です。各事業が自己完結型で展開し、事業部内の権限と責任の全部を事業部長が持ちます。顧客や製品の特性、ビジネスの仕組みが異なる事業を複数運営するのに適した組織です。

メリットは、市場の変化への対応力やマネジメント層の育成機会となることです。一方、デメリットは、短期利益の追求や事業間競争による全体最適の阻害などがあげられます。

 

■マトリックス組織

マトリックス組織とは、2つの異なる基準で組織を設置する組織形態です。ひとりの従業員が同時に2つの組織に属するかたちとなります。タテとヨコの関係から多元的な指揮命令系統になるのが特徴です。

メリットは、市場の急激な変化や技術革新、グローバル化などの経営環境の不確実性への対応が可能なことです。一方、デメリットは、1つの部署が2人以上の上長にコントロールされるため、組織的混乱が生じ部門間調整が必要となることがあげられます。

 

例えば、製造業のA社は事業別の組織体制をとり、X事業とY事業、Z事業を行なっていたとします。

技術開発力はA社の最大の強みで、長年培ってきた製造面のノウハウにも競争優位があります。3事業は異なる市場でまずまずのシェアをとっています。しかし、新技術の登場で、将来、X事業のコア技術は陳腐化し競争力を失うことは必至となりました。

そこで、A社は、X事業を縮小しY事業を拡大する戦略に転換しました。具体的には、Y事業のコア技術を活かせるこれまでとは異なる製品分野への進出を図ることにしました。コア技術に磨きをかけるためにも、新しい製品分野を開拓するためにも、また販路を見つけるためにも、全社の英知を集め、Z事業のメンバーともコミュニケーションを常に取りながら、事業を展開する必要が出てきました。

そこで、A社長は変化にすぐ対応できる組織作りを目指し、事業部制組織からマトリックス組織に転換することを決意しました。

 

3.責任の明確化

新戦略に沿った組織構造が決まれば、次に各機能とメンバーの役割を明確化し、責任と同時に権限を与え、責任と権限を一致させます。責任だけでなく権限が与えられると仕事の幅が大きく広がることになり、メンバーのモチベーションの向上にも繋がります。権限と責任の一致と明確化は、整えた組織の体制という箱に息を吹き込んで、人の行動を変え、組織が活性化する重要な要素です。

 

4.まとめ

コロナ禍による社会・経済活動の劇的な変化のなかにあって、事業戦略の見直しを図るなかで、組織構造や組織運営も新戦略にマッチしたものに変え、権限と責任を与えられたメンバーが自主的に活動する組織体制を築いていきましょう。

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