いざという時に!「会社のお金」にまつわるお話

いざという時に!

~「会社のお金」にまつわる話~

(第30話)

300社以上の経営を支援してきた経営改善の専門家が、実例を基に会社に起こり得る様々な金融面の問題にスポットを当て、解決までのストーリーをご紹介します。

 

資金調達のポイント

 

1.必要な資金額を知る

事業運営で必要なお金には、その資金の使い道で大きく2種類あります。運転資金と設備資金です。事業を運営されている方にとっては、耳慣れた単語だと思います。
しかし本当に必要な運転資金や設備資金の算出、返済原資の確保の方法について、ご存じない方が多いように思います。

貸借対照表、損益計算書の情報を整理すれば簡単に算出できますし、必要な調達額と返済に必要な利益額を正確に知ることができます。
資金調達というと金融機関対策を思われがちですが、自社の経営を安定させる為の施策です。日頃から、自社の資金調達について、検証しておくことが大切です。

 

①運転資金

全ての事業において、人件費や原材料の調達で立替えの資金が必要です。それが運転資金です。この運転資金の算出は貸借対照表の情報から簡単に算出できます。また、直近5期の推移を見れば、自社の資金繰りの状況も概ね把握できます。

 

運転資金の算出方法

運転資金 = 売上債権 + 棚卸資産 - 買入債務

※売上債権 : 売掛金、受取手形など
 棚卸資産 : 商品、原材料など
 買入債務 : 買掛金、支払手形など


必要な運転資金額を知れば、既存で借り入れている運転資金の妥当性も把握できます。必要額以上の運転資金借入が発生している様であれば、回収が長期化している売上債権の発生など、事業運営で何かしらの問題が発生しているケースが多いです。
また、事業拡大の為、前もって商品や材料の調達が必要なケースが出てきます。増加運転資金への対応です。これも拡大する事業規模を想定すれば、上記の算出方法で、必要な増加運転資金額を把握できます。早目の必要額の把握で、金融機関とのやり取りもスムーズに進みます。
その他の運転資金の確保方法として、売掛金期間の短縮、在庫の適正化(無駄な在庫を持たない)及び買掛期間の延長があります。

但し、在庫の適正化以外は取引先との交渉が必要です。場合によっては信用不安を招くリスクがありますので、時間を掛けて、慎重に進めることが重要です。しかし、上手く行けば、調達が必要な運転資金額が減少するので、借入が減り、支払利息が軽減し、利益が向上します。

 

②設備資金

どんな事業でも商品やサービスを作り出す為に、何らかの設備が必要です。製造業であれば、工場や工作機械、小売や卸売業であれば、店舗や倉庫、営業用車両などです。顧客要請や社会情勢の見極めで、自社の事業拡大を図ろうとすれば、必ず何らかの設備を増強しなければなりません。

設備増強は投資です。投資は、投資額の回収に加えて、利益(リターン)を得なければなりません。設備投資をしたのに十分な利益(リターン)が得られなければ、倒産の可能性も出てきます。設備投資額の妥当性の検証は極めて重要です。

 

ここで、必要になるのが本シリーズで過去にテーマとしました「設備投資資金と事業計画」(https://www.just-c.net/news/2019/12/post-39.html)及び、「キャッシュフローと資金調達について」(https://www.just-c.net/news/2019/10/post-31.html)です。

事業計画では将来の外部環境も想定しながら、投資による売上や収益の増加を数値で予想します。返済に必要な現金(キャッシュ)が確保され、将来の事業運営に必要な利益(リターン)が計上されていくかを簡易キャッシュフローの推移などで確認しておくことが大切です。また、事業計画を立て、適宜、進捗をモニタリングしておけば、進捗の状況を早期に把握できます。特に、進捗状況が芳しくない場合、迅速に改善施策を実行できる為、プロジェクト破綻のリスクを軽減できます。

 

計画根拠を基にした数値計画を盛込んだ事業計画の立案をしておけば、妥当な設備投資額を算出できます。また、社内での情報共有で士気も向上し、プロジェクト成功の可能性も高まります。加えて、プロジェクトに対する金融機関の信用度も高まり、スムーズに資金調達も進みます。

 

2.資金繰りを知る

決算書情報の整理や事業計画の作成などで年間に必要な資金額や返済原資の把握は確認できると思います。しかし、季節的な要因で売上には波があり、月によって、資金の在り高の状況も変わるでしょう。また、月中にも同じことが起こります。いつ資金が必要になるかを知る上で、日毎、月毎に、どのように資金が動いているかを把握しておくことも大切です。

 

①日次資金繰り計画

毎日の入出金を管理し、日次資金繰り表を立てておくことで、月中のどのタイミングに資金の在り高が低くなるかを把握できます。下記の月次資金繰り計画と合せて管理しておけば、資金不足の時期を早期に知ることができ、資金調達への対応もスムーズに行えます。

 

②月次資金繰り計画

どの業種も年間を通じて、売上の多い時期、少ない時期があります。これらには年間の月次資金繰り計画の立案で対応できます。どの月が一番資金の在り高が低くなるか把握しておけば、売上予想が下振れた場合などにも、柔軟に対応できます。また、顧客からの増産要請や、在庫の積み増しが必要になった場合(増加運転資金への対応)も、必要運転資金の算出と月次資金繰り計画の作成で、迅速に対応できます。

 

3.金融機関から信頼を得る

事業を持続的に運営し、拡大させる為には資金調達は必須です。資金調達には様々な方法があることを紹介してきましたが、金融機関からの資金調達は外すことはできません。定期的な運転資金の調達や、事業拡大を狙った設備資金の調達などをスムーズに行う為に、日頃から金融機関と信頼関係を構築しておくことが大切です。

 

①信頼関係構築に必要なこと

金融機関から信頼を得るためには、会社の経営方針や事業計画、現在の状況などを情報開示することが重要です。立案した年間事業計画を決算時期などに開示。月毎は試算表や資金繰り表でその進捗状況を報告しておけば、信頼関係は更に深まります。得意先などで緊急事態が発生した時なども、臨機応変に対応してもらえるでしょう。

 

②複数行と取引する

昨今の金融情勢を踏まえると、メイン銀行との一行取引では不安が多いです。金融機関によって、融資審査の方針に相違があります。メインで断られたが、サブで承認を得たということも多く見受けられます。身近な専門家と相談しながら、金融機関の特徴を見極め、複数行と取引することをお薦めします。

 

4.まとめ

資金調達で最も重要なことは、自社での十分な検討です。返済原資の確保を検証せず、安易に資金調達すると、後々、資金繰りを悪化させ、会社を窮地に陥れることになります。運転資金として妥当な額であるか、利益での返済が見込める設備資金であるか、じっくりと吟味することが大切です。

そのような中、事業計画の立案が重要になります。計画通りに進捗しないことも多々あります。しかし、計画を作成し、進捗をモニタリングすることで、早期の対応も可能となり、成功の可能性が飛躍的に上がることは間違いありません。

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