経営改善の専門家が解決します! ~会社のお困りごと相談室~

経営改善の専門家が解決します!

~会社のお困りごと相談室~

(第23話)

経営改善の専門家が今まで受けてきた300社以上の経営相談を基に、多くの会社で起こり得る問題とその対応策について、具体的なエピソードを交えて解り易くお伝えします。

◆本日のご相談◆  

経費削減を進める中で、必要最低限の人員で各現場を運営しています。そのような状況で、ミーティングや営業会議が定期的に開催できず、営業方針も浸透していません。一丸となった営業体制が整っておらず、個人が経験と勘で営業し、営業内容もブラックボックス化している状況です。

 【ご相談の会社について】

基本データ

(業種業態)卸売業

(売上高)11億円

(収益状況)経常赤字(▲9百万円)

(従業員人数)23名(パート16名)

(借入金総額)5億円

会社の現状

食品の卸売業で、地域のスーパー等が得意先です。近年では、業界の再編や、大手卸の寡占化が加速し、売上は何とか維持できているものの、利益低迷に悩んでいる。

4期連続で赤字が続き、実質債務超過であり、銀行から返済額軽減のリスケジュールの支援を受けている。

【ヒアリング内容】

・ミーティングや会議が殆ど行われていない。

・営業担当が積荷、配送、伝票作成等に追われ、細切れの時間で営業をしている。

・得意先に対する提案書、相場表の作成が不十分である。

・得意先に対する電話でのフォロー、対話ができていない。

・既存得意先に対する拡販ができず、新規先の開拓は殆どできていない。

・提案をすることで、自身の仕事が増加するという考えを持っていて、売上増加に積極的でない。

・活動日報も提出されず、担当者の営業行動が把握できていない。

・どのような商談がされているか、中身がわからずブラックボックス化している。

・顧客の売り場を視察し提案する商品を探すことができておらず、顧客を良く知らない。

 【見えてきた課題】

ヒアリングにより、以下の問題が明らかになってきました。

《社内体制》

 営業担当がバックオフィス、配送業務等に追われ、商談の時間を確保できない。

 提案書も時間に追われ、殆ど作成できていない。

《営業体制》

 営業会議が不定期であり、定期的な目標の進捗確認、情報の共有ができていない。

 顧客数が多く、提案書のターゲットも明確にできていない。

《営業の属人化》

 個人による業務の隙間時間での電話セールスが多く、営業が属人化している。

 社内での営業スキル、ナレッジの共有ができていない。

《顧客サービス》

 顧客の売り場も確認せずに、一方的・形式的な提案書になっている。

【課題への対応策】

前述の課題から、ご相談の会社には「戦略・マーケティングの明確化」「営業体制の構築」「営業チーム力の強化、営業人材の強化」が必要だと考えました。具体的に以下の対策をとりました。

 

①戦略の明確化

はじめに、営業戦略、マーケティングを明確にしました。

今までは、ターゲットの設定基準が曖昧であり、売上増加を最優先事項としていました。一定の売上はあるが、送料のかかる他県の販売先等は利益率の低いため、ターゲットから除外しました。

利益を最優先の目標とする方針を明確にし、地元スーパーへの販売を強化することにしました。既存先では、利益額の高い順番に、新規先では意思決定者との交渉がどこまで進んでいるかを基準に設定しました。1週間に1回は営業会議を開催することにし、営業戦略の周知徹底を行いました。

初めの営業戦略・マーケティングを間違うと、②~⑤以降の活動も間違った方向性になる為、最も重要なポイントになります。

②営業活動の標準化

成果が上がる営業のポイントは、行動の量、行動の質、スピードの3要素です。量の面では、営業活動時間での提案書の作成数、顧客の訪問数、電話でのセールス数を設定し、営業活動を行うようにしました。質の面では、トップセールスの営業に同行、営業手法・商談内容を精査し、営業担当に研修を行いました。スピードの面では、受注確度が高い顧客に対して適切にフォローできるよう、スケジューリングを行うようにしました。

③営業活動の効率化

営業活動の障害となっていたバックオフィス業務、荷物の積降等の間接業務の一部をアルバイト・事務員に移管し、営業活動時間の最大化を図りました。営業活動に集中できるように、顧客にあわせた営業時間帯を優先的に確保し、バックオフィス業務の時間帯を決定しました。時間が重複している取引先、エリアも見直しを図り担当者の割り振りを見直しました。

④営業体制の構築

営業人員体制を改め、課長・主任に重要顧客を多く集中的に設定しました。経験が少なく、まとまった時間の取れない営業担当は、電話やファックスでの提案・受注業務の割合を増加し、営業の一部を分業体制としました。その中で、トップセールスの行動やセールス内容を共有する為、課長と若手の同行の営業活動も計画的に行い、人材の育成を行っています。攻略の難しい顧客はペア体制で営業し、営業チーム力の強化を図りました。

⑤PDCA体制の確立

毎週1回の営業会議を開催し、個社ごとの売上、利益、案件の進捗を管理することにしました。進捗が遅ければ、提案内容を再検討し、次の新しい提案書を作成するようにしました。また、この会議で、成功した事案をベストプラクティスとして全員で共有し、人材育成へと繋げています。

【ご相談者のその後】

まずは、行動の量が増加したことで、顧客への提案数が大幅に増加しました。成約率は一時的に落込みましたが、成約数が伸び、売上は増加しました。営業会議では、毎週担当者から、提案数の報告、成約数の報告等がでるようになり、その内容を把握することで、成約率も改善しています。今では、営業担当自ら目標を立てるようになりました。提案件数が多い為、接点が増加し、顧客との関係も良好になり、利益が増加しました。営業担当は、手ごたえを感じ、創意工夫を重ね、顧客の立場に立って、一番喜んでもらえる提案を考えるようになりました。業績は回復し、営業利益は黒字転換しました。

 【専門家から一言】

営業活動は、企業活動の最前線であり、生命線となります。営業戦略を決定し、営業体制を整え、営業担当が積極的に活動すれば、売上が増加するだけでなく、社内の雰囲気も良くなり、企業活動全体に良好な結果をもたらすでしょう。

 

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