経営改善の専門家が解決します! ~会社のお困りごと相談室~

経営改善の専門家が解決します!

~会社のお困りごと相談室~

(第20話)

今月より新しいコラムテーマでお届けします。経営改善の専門家が今まで受けてきた300社以上の経営相談を基に、多くの会社で起こり得る問題とその対応策について、具体的なエピソードを交えて解り易くお伝えします。

  ◆本日のご相談◆  

設備毎に原価管理を行ってはいるのですが、現実との乖離が大きく、赤字からの脱却が見えてきません。3期連続の営業赤字で資金繰りが逼迫しています。年間の売上と入金の予定が立っていない中、発注元の生産工程の変更などで受注が無くなってしまわないかとの不安もかかえています。

 【ご相談の会社について】

■基本データ

(業種業態) 製造業

(売上高)  3億円

(収益状況) 営業赤字(▲3,400万円)

(従業員数) 10名

(借入金総額)1.7億円

 ■会社の現状

特殊プラントの設備を製造。特殊な大型設備を扱っている為、これまでも業績にバラツキはあった。特に直近は原価管理が行き届かず、先方との値決め交渉も防戦一方で3期連続で多額の営業赤字を計上し、債務超過の状態に陥る。

 【ヒアリング内容】

 ・発注元の納期優先指示に振り回され、原価が急上昇しているが売価に転嫁できていない。

 ・受注すればする程、赤字になる。

 ・年間の売上計画が見えておらず、資金計画を立てる事ができない。

 ・過去の実績価格を盾に値上げ交渉が容易でない。

 ・製造品が特殊設備なので受注が不安定である。

 ・3期連続の営業赤字計上で現金が無くなっている。

 ・債務超過の状態にあり、金融機関から新たな借入ができない。

【見えてきた課題】

ヒアリングにより、以下の課題が明らかになってきました。

(原価の上昇)

仕様の追加や変更による追加費用が発生しているにもかかわらず、製造品の収益性を把握できないまま発注元の指示通り作業を進めていたため赤字が大きく膨らんでいました。

(原価把握の遅延と精度の低い管理数値)

これまでの原価管理は、特定の経理社員のみによる手作業でのデータ転記処理でした。そのため集計作業に時間がかかり、原価把握が製造品出荷後3ヶ月を過ぎている場合も多くありました。加えて、製造品あたりに発生する伝票が極めて多く、原価データへの入力漏れも散見されていました。

(採算が合っていない見積り)

管理数値の精度が低い為、具体的な目標数値を設定することができていませんでした。その為、見積りの段階から不採算案件となっているものも散見されました。

(進まない値上げ交渉)

部材の高騰や外注費の上昇を理由に発注元に値上げ交渉を試みましたが、精度の高い原価資料を提出できず、理解を得ることができませんでした。

【課題への対応策】

前述の課題から、ご相談の会社には「経営戦略」と「経営管理」のテコ入れが必要だと考えました。事業をより良く進めるためには、当然ながら利益を出すことが最重要事項です。どのように・どれだけ利益を出すのかを設定し、設定した通りに進んでいるのかを確認する際に大切なのが、「経営戦略・経営管理」です。「経営戦略」と「経営管理」については、下記の図をご参照ください。

では、実際にどのように対応策を実行していったのか、以下に見てみましょう。

 

 

1.現状認識(問題点の洗出し)

・変動費(部品仕入、外注費)の割合が極めて高い。

・少数精鋭の技術者による組立作業であるにも関わらず、固定費を賄えていない。

・原価管理の手法が手作業であり、原価の把握にかなりの日数を要している。

・原価把握の精度が悪く、見積りの精度が悪い。

・収益状況が把握できておらず、強気の交渉ができていない。

・整合性のある説明が出来ず、値上げを承認してもらえない。

 2.主な経営戦略施策(課題の解決)

・具体的な計画数値、アクションプランを記載した5ヵ年の事業計画書を策定した。

・事業計画書の策定により、3年間の元金返済猶予の金融支援を受けることができた。

・過去10年の平均売上で利益が確保できる売上高変動費比率を目標数値とした。

・設定した目標数値を資材調達、組立作業と共有した。

・変動費の把握にはIT導入補助金により、新たな生産管理システムを導入した。

・見積り精度を上げる為、上記のシステムを活用し、スピーディに原価を把握した。

・受注確度毎に年間売上と入金時期が分かる一覧表を作成し、年間の売上計画と資金繰りを管理した。

・受注導線を多様化させる為、ホームページをリニューアルした。

・細かな顧客ニーズに対応する為、機械設計技術者の獲得を目指す。

 3.経営計画の進捗(結果の検証)※計画策定後3期が経過

・社員で目標を共有した結果、売上は3期連続で目標を達成できた。

・年間売上が上半期を経過した時点で把握できる様になった為、準備をもって経営ができる様になった。

・計画2年目で目標の売上高変動費比率を達成できた。

・達成の要因は、商品毎の原価把握がスピーディかつ精度が上がった為、見積り精度が格段に上がったことに因る。 

・見積り精度が上がったことにより、値上げ交渉が必須となったが、見積り金額の整合性を説明できる様になった為、価格交渉が上手く進んでいる。

・ホームページのリニューアルにより、これまで取引が無かった分野からの引合いがで来る様になっている。

【ご相談者のその後】

目標達成の必要性を社員全員に周知した結果、管理業務に消極的だった社員も業務の意味を十分に理解し、業務に当たりました。計画2年目には両方の目標数値も達成でき、必要な運転資金も確保できました。来期は正常化に向けたリファイナンスを受ける予定です。

【専門家から一言】

必要な経営数値を管理することで現状の課題が「見える化」します。この「見える化」により、解決に向けた的確な経営戦略を練ることができます。加えて、経営戦略の検証結果を数値で評価することで、次の改善施策もより具体化するのです。

悩みを身近に相談し、解決できる
新たな「経営プラットフォーム」

経営に関するあらゆるご相談を承ります
	まずは無料相談から!!