事業再生専門家が語る「7Sでかわる 経営改善を可能にするマネジメント」

~事業再生の状態に陥らないために~

事業再生専門家が語る

「7Sでかわる 経営改善を可能にするマネジメント」

(第17話)

《7Sとは?組織を形成するハードとソフトについて》

 経営改善を実行する際に有効なフレームワーク「7Sモデル」について、実際の経営改善事例をもとに解説します。今回は7Sのうちのシステム(System)とスタイル(Style)にフォーカスしていきます。



【システム(System)】   

 システムとは、会計システム、人事評価などの組織の仕組みや基本構造です。

 会社の規模が小さいうちは、社長の裁量ですべてが決まり、動いていることも多く、社長が率先して現場、営業に立つことも多いでしょう。しかし、会社が一定の規模になると状況は変わってきます。

 それまでは、従業員の様子や会社で起こっている全ての事が把握でき、適切な指示が出せていたものが、社長1名での対応は困難になります。このような状況を克服する為には、「社長や経営幹部が会社を引っ張る」体制から「システムを使って会社を動かす」体制へ変更が必要となります。

 

【スタイル(Style)】 

 スタイルとは、組織の文化、社風、経営スタイル、職場環境がこれにあたります。組織の文化とは「組織や従業員が意識的・無意識に共有している独特の価値観や企業規範、前提条件・ルール」などで「行動原理となる価値観」を指しています。

組織文化の形は5つの形で分類すると、

 1.役所型‥典型的なマニュアル組織

 2.家族主義型・・中小企業に多く、仲が良いが、他人任せになりがちで、実はチームワークが良くない

 3.歩合営業型・・優秀な人材は残るものの、営業ノウハウ等は共有できずチームワークは良くない。

 4.技術型・・技術志向で、好きなことを仕事にしているので、離職率は低くなる。ただ、結果をあまり求めないので売上や業績に対する意識は低い

 5.活性型・・社員同士が成果を上げるために助けあう文化があり、理想的なタイプ

 以上の5タイプに分けられますが、自社の組織文化を理解し、目指すべき理想の組織文化がどうあるべきかを考え、方向性を示すことが必要です。

 

 それではここで、企業全体の戦略の見直しとシステム、スタイルの改善に取り組んだD社の事例を見てみましょう。

 

【戦略・システム・スタイルの3Sの改善に着手】

 【D社 飲食業】

 カフェレストランを展開するD社は、豊富なメニューとボリュームのある料理で、近隣の学生や主婦からの支持を集める人気店です。店舗周辺の土地を買収し店舗面積を増床しただけでなく、多店舗展開に取り組み、最盛期には3店舗を運営するまでに成長しました。

 ところが、新たに展開した店舗が不採算のため閉店に追い込まれたほか、増床や多店舗展開時の借入金の返済が大きな負担になり、さらに、仕入れコストの上昇や人件費の高騰によって収益性が低下、赤字を計上することになりました。

【経営分析】

・多店舗展開を図り失敗、借入金をリスケジュールしており資金繰りに余裕が無い。

・売上の拡大を図るために座席数を100席近く持ち、稼働率は低い。

・家族従業員以外はアルバイトであり、大学生が多くサークル感覚である

・アルバイトの教育や時給に関して、マニュアル、基準がなく曖昧である

・アルバイトの人数が多く、仲もよく、楽しんで仕事に取組む姿勢がある

【取り組み】

・改装資金を調達する為、経営改善計画を策定し、新たな資金調達を行った

・店舗改装を実施、ドリンクバーを設置する等セミセルフを導入し、座席数を削減した

・人材教育システム、サービスマニュアル、日常の管理会計システムの構築を行った

・アルバイトに時給ポイント制を導入、自発的に業務を覚えるシステムにし、現状より少ない人数で協力してオペレーションする形を整えた

【成果】

・資金調達により、店舗リニューアルを実施し、メディアでの露出が増加、売上が向上した

・サービス、人材教育のマニュアル化がすすめられ、手待ちなど非効率が少なくなった

・日常の会計をシステム化することで、早期に原因分析の特定が可能となり、対策を施せるようになった。

・アルバイト店員が、仕事を機械的にこなすだけでなく、自発的に仕事を覚え判断できるようになった。

・オペレーション人数が少なくなり、情報共有、意思疎通が統一され、協力体制が生まれた。

   

 D社の成功のカギは、現状認識と方向性を確認し戦略を明確にしたことが第一の要因です。

 店舗運営においては、改装による席数削減、セミセルフの導入によりオペレーションに必要な人数が減少しました。サービスマニュアルを整え、教育研修を行い、システム化を図ることで、サービスの品質、仕事に対するモチベーションの向上に成功し、積極的に仕事に取組む、協力を図る社風に変化しています。

 経営改善を実行する際の7Sの要素は、ハードの3S(戦略、組織、システム)とソフトの4S(価値観、スタイル、人材、組織能力)からなります。ソフトの部分の変更は困難といわれますが、先ずは7Sの優先順位を決定し、ハード部分の3Sである戦略を明示し、改装を行い、同時に、システムを整えました。その結果、ソフト部分にも働きかけが起こり、アルバイトの仕事に対する姿勢がかわり、意識変革が起き、スタイルの改善にも成功したのです。

 

 次回も、具体的な成果事例をもとに、7Sを活用した経営改善について考えます。    

                                                

                                  前田 節(まえだ とも)

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